やる気駆動型エンジニアの備忘録

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(映画・感想)BIRD BOX -バード・ボックス-

NETFLIX オリジナル映画『BIRD BOX -バード・ボックス-』の感想&レビューです。

あらすじ

謎の闇に突き動かされた者たちが相次々と命を絶ち、人口が激減して5年。ここまで生き延びてきた母親が2人の子供を連れて、安住の地を目指す危険な旅に出る。

予告編


視界を奪われた世界を生き抜く、サバイバル・スリラー『BIRD BOX/バード・ボックス』予告編

この監督の作品は始めてみましたが、Wikipedia で見る限り家族愛を描いた作品が多いんですかね?
あと、脚本の方が「エリック・ハイセラー」という方なのですが、過去に『遊星からの物体X ファーストコンタクト』の脚本もされていたそうで。あれも面白かった。
また、2017年に大ヒットした『君の名は。』のハリウッド実写版の脚本家にも抜擢されているそうです。これは知らなかった。

以下、ネタバレ含みます!

感想

NETFLIX で公開開始されてからずっとおすすめに出ていた作品で、前々から気になっていました。
あらすじだけ読むとポスト・アポカリプスもののサバイバル・スリラー感を全面に出しています。が、最後まで見てみるとジャンルにもあるように「ヒューマンドラマ」であることが分かりました。
スリラー映画としては王道パターンを抑えつつ、物語の主軸はヒューマンドラマというなかなか表現の難しい映画でしたが、似たような作品だとNETFLIX オリジナル映画の『CURGO -カーゴ-』があります。あちらは父親目線でしたが。

ストーリー開始直後は主人公であるマロニーと子供2人が目隠しをしたまま川を下ることになります。視聴者はこの時点ではその目的も目隠しをする理由もまだわかりません。
その後、時間軸が5年前の回想シーンへと移り、これまでに至った経緯が徐々に明らかになります。

正体はわからないけど、それを見た人間は次々と自殺していくというスリリングな設定と、その「正体の外見」がわからないことで視聴者にも不安感・不気味さをうまく表現していたと思います。
パラノーマル・アクティビティ』なんかも似たような手法で作られていました。
ホラー映画では何らかの制限・制約があると非常に恐怖を感じますが、この映画の場合は「(主人公たちが)見えない」ことで恐怖を演出しているのがGoodです。 また、屋内であれば安全だけど、どうしても外に出なければならなくなるといったシチュエーションは『ミスト』を思い出します。

マロニーは時間軸が現在だと子どもたちに辛辣な態度で接します。この理由は物語後半で本人が「無闇矢鱈と希望をもたせたくないから」と話していました。
また、子どもたちにも名前は無く、ボーイとガールと呼んでいます。
これらの母親らしからぬマロニーの行動や言動は物語の結末に向けてのちょっとしたスパイスでしょう。
(実際に母親がこんな性格だったら絶対イヤだけどw)
おそらく、3人の川下りもマロニーの成長を表現するための試練だったのかなと思います。

時間軸が交差しているため、最初に登場した2人の子供は主人公マロニーの実子だと思っていましたが、実際には一緒に逃げた妊婦オリビアの子供という設定も良かったように思います。
川下りで流れの早い場所で誰かが実際に目で見なくてはならない状況で、マロニーが誰がその役目を果たすか選ぶシーンは、一瞬「あ、これはガール(実の子供ではない方)を選ぶな」と視聴者に考えさせつつも、結局の所誰も選べないマロニー本来の優しさが垣間見えます。
結末としてはスリラー部分の設定は何も解決しないけど、ヒューマンドラマ部分はマロニーが母親として2人の子供に希望を持たせたいと思ったこと、2人の子供に自分にとって親しい人たちの名前を与えることになります。
こうやって人は迷い成長するんだよ、という暗喩でしょうか?
個人的には好きな終わり方でしたけどね。

そんな『BIRD BOX -バード・ボックス-』ですが、現在NETFLIX で視聴可能ですので興味がある方は是非♪♪