(映画・感想)ブラック・ミラー:バンダースナッチ
NETFLIX オリジナル映画『ブラック・ミラー:バンダースナッチ 』の感想&レビューです。
- タイトル : ブラック・ミラー:バンダースナッチ
- 公開 : 2018年
- ジャンル : ヒューマンドラマ / インタラクティブ
- 出演
- フィオン・ホワイトヘッド
- ウィル・ポーター
- クレイグ・パーキンソン
- アシム・チョードリー
あらすじ
1984年、天才プログラマーに出会い、ビデオゲーム「バンダースナッチ」の開発チャンスを得た若きプログラマーが主人公。ファンタジー小説に基づくゲーム開発に取り組むなかで、徐々に現実とパラレルリアリティが混同し始める…。
予告編
NETFLIX で話題沸騰らしい、映画の形として全く新しい「ストーリーを視聴者が選択できる」という映画です。 NETFLIX ではこの形式を"インタラクティブ映画"と称しています。"インタラクティブ"とは、直訳すると"相互に作用する"という意味ですが、コンピュータの世界では"双方向的なコミュニケーションが可能であること"、"ユーザーの操作に対して画面上の情報や内容が変化すること"を指し示します。
ちなみにブラック・ミラーというのはシリーズ物になっていて「社会風刺をブラックテイストに表現したオムニバス形式の物語」らしいです。オムニバス形式なので、1話ごとにストーリーや設定などは全く異なります。
以下、ネタバレ含みます!
感想
やはりこの映画を語る上で外せないのは"インタラクティブ"な部分ですね。 映画内では時々主人公の行動を視聴者が選択することができます。 単純なもので言えば、朝食を2種類のうちどちらを選択するかや聞きたい曲を選ぶなど、といった普段の行動も選択します。 選択した行動によってストーリーが変化し、時にはバッドエンド(?)にもつながるというものです。 この選択するというテーマ自体がこの映画で主人公が作成しているゲームと同じ仕組みであるという点が非常にブラックユーモアがきいていてGood。
さて、この選択するという行為、最初の印象で言えばユーザーの操作によって結末が分岐するものだと私は思っていました。 イメージとしては『アイ・アム・レジェンド』のようにマルティ エンディングがあるのかな?と思っていました。
しかし、実際に何度か選択していると、主人公が失敗の結末へいってしまいその時点で時間軸がもとに戻るという演出がありました。 具体的には主人公が作成したゲームを企業に売り込む際に即契約を成立させると、ゲームを発売したものの低評価を付けられてしまう というものです。
何度かこのようなバッドエンドのような結末を迎えては時間軸を戻して別の選択をする、ということを繰り返していきます。 ある程度バッドエンドを見ると、画面の右上に"クレジット"の文字が。それを押すとそのままクレジットが流れてこの映画は終了します。 つまるところ、結末すら視聴者が選べるということです。 他の視聴者の方の感想とかも見てみたところ、どうやら真のエンディング自体は1種類しかないようでそれ以外はバッドエンド?のようです。
残念ながらこの仕組は私には合わなかった。 なぜなら選択してストーリーを選べるという既成概念があり、選択したことによって結末が変わらないどころか、結局少し前の時間軸に戻って別の選択を矯正されるからです。
また、バッドエンドへ進んだ場合にもある程度のストーリーが描かれます。 このときのストーリーがこの映画の本筋に関わっているのかどうかもよくわかりません。 例えば、あるルートでは主人公の父親がPAC という謎の組織に所属していて息子の成長をずっと記録していて、それを知った主人公が疑心暗鬼になって父親を灰皿で殴るという行動に出ます。 しかし、父親がPAC という組織に所属しているという設定は他のルートでは特に生かされていません。(私がそのルートを見ていないだけかもしれませんが)
それを繰り返すうちに、結局今見ているのはどの設定なんだ?とこんがらがってしまいました。
さて、とは言いつつもストーリー自体はなかなかおもしろく、私には合わなかったもののアイディア自体は素晴らしいものでした。 特に主人公がゲーム制作にのめり込むあまり自分の行動が他人によって決定されているのではないかという疑念に囚われる様はなかなかに良い演出でした。 このインタラクティブ映画自体も今どきのVOD サービスとの相性はバッチリですし、今後はこういった映画が増えていくかもしれません。